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HOME > ブログ > 茶室建築 > 畳を知る・柴又/須藤畳店さま見学
ブログ
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畳を知る・柴又/須藤畳店さま見学
ご案内くださった須藤畳店ご主人と息子さん
実はこちらは私の高校時代の友人のご実家で、現在はお父さまとお兄さまのお二人で畳を作られています。東京では珍しくなった下町の風情が残るこの柴又で、長く地元の住宅や商店に畳を納めてこられました。
高校時代から「いつかマイホームを持つときには、須藤畳店に頼もう!」と密かに心に決めていました。
マイホームはまだ先ですが、こうしてお仕事で伺うことができて大変嬉しいです。
さて、今回お伺いしたのは、「床下収納のために、軽くて丈夫な上げやすい畳はできないでしょうか」という相談をさせていただくためでした。
そのためにはまず畳を知らなきゃ話にならん。
ということで、畳を構成する要素について、お話いただきました。
皆様もご自宅の茶室・和室を検討される際の参考に、ぜひご覧になってください!
・・・
畳床(たたみどこ)
畳床とは畳の芯材のことで、座り心地や重さだけでなく、虫を通しにくいだとか、さまざまな要素を決める重要な材料です。
一番古くから使われているのはわらを何層にも積み重ねて圧縮してつくる「藁床」です。
丈夫で長持ち、ふんわとして座り心地もよいけど、ものすごく重い。お茶の先生方は「しっかり詰まった藁床が一番足がしびれないのよ」と仰りますね。
一枚で30kg以上あるため、一般住宅ではなかなか採用されなくなりました。
その耐久性は歴史が照明しており、
現在もっとも使われているのが「建材床」と呼ばれる、「畳ボード」を重ねたものです。
間に発泡材を挟んで厚みを出します。
手で持ってくださってるのが畳ボード二枚重ね
右側のブルーのものが、畳ボードの間に軽い発泡材を挟んで厚みを出したもの。
藁床に比べぐっと軽く、工業製品なので供給が安定していて安価です。また、解体家屋から出る廃材などの再生資源を利用したものも多く、エコロジー。
クッション性は藁床には劣ります。
間に使われている発泡材はホームセンターなどで見かけるものよりずっと目が細かく、ダニなどの虫を通さないというのも嬉しいところ。
しかし軽いと言っても10~20kgはあります。
最後に見せていただいたのがこちら、「衝撃緩和型たたみケアケア畳」です
その名の通り発泡材の間に衝撃を緩和するコルゲート板(波板)を挟み、発泡材の強度を補いつつ、転倒時の衝撃を緩和してくれます。
白い層が反発力のある表面材、水色が発泡材、黒い層がコルゲート板
介護の現場用に開発されたもので、とても軽く柔らかく、足腰への負担を和らげてくれます。
建材床より高価になりますが、介護保険における住宅改修対象のため、要支援・要介護と認定された場合は補助を受けることができるそうです。ご高齢のご家族のためのリフォームをお考えの方、ぜひご活用ください◎
軽くて丈夫な所が今回の要望にマッチしそうです!
あとは厚みの問題だけですので、畳床加工ができる会社を今度は探していきたいと思います◎
畳表(たたみおもて)
畳表はイグサなどで作られる織物、単体では「茣蓙(ゴザ)」と呼ばれます。
様々な種類・ランクの畳表を見せていただきました。
品質の違いが写真からもなんとなく伝わるのではないでしょうか。
国産のふっくらしたイグサをたっぷり用いたものほど高級で見た目も美しく、
外国産の安価なイグサをざっくり織ったものはやはりバラバラとした印象になりますね。
右上の目が細かいものと二色の市松になっているものは和紙を織ったものですしたものです。様々な色に染めることができるので洋間に合わせやすく、モダンな住宅に人気があります。ただし強度はイグサには負けるので、茶室のように立ったり座ったり歩いたりが多い場合は不向きかもしれません。
畳縁(たたみべり)
畳縁は畳の補強をするために畳に付けられている布です。古くは綿が主流で、現在では化学繊維交じり、高級なものだと麻製のものもあります。
茶室では基本的には濃紺などの無地ですが、一般のご家庭ではひし形などの柄入りも馴染みがありますね。
縁を付けずに仕上げることもできますが、その場合は時間も費用もかかるんだそうです。
琉球畳のこと
畳縁の無い半畳の畳のことをよく「琉球畳」と呼びますが、一般に流通しているものは厳密には「琉球畳風」にとどまるということはご存知でしょうか?
私は恥ずかしながら知りませんでした。
本物の琉球畳は七島藺(しちとうい)というイグサとは異なる植物を使用しているんだそう。七島藺(しちとうい)は柔道用の畳に使われるように、優れた強度を持つ植物ですが、現在では大分県の一部の農家さんで作られているのみなんだとか。
・・・
どんな畳床に畳表を合わせるか、また
さらに大きさはどうなのか。
畳は基本的にひとつひとつ特注です。
おうちの寸法に合わせ畳屋さんが畳床を切り、畳表を縫い合わせます。
先代が作られたという畳を縫う際の手当て
畳を縫う作業はほとんどが大きな機械でされますが、一部、手縫いが必要な場合や、手縫いで仕上げる昔ながらの畳の依頼もあり。
そんなときにこちらの手当てが用いられるんですが、代々直しながら使われていて何とも美しい。
最近ではお兄さまが畳製作技能士(国家資格!)一級の試験に向けてこちらを使って研鑽されているそう。
・・・
畳屋さんのお仕事は、畳床に畳表や畳縁を縫い、お客様のお家に納めるところまで。
下町・柴又は畳のあるお宅や商店が多く、須藤畳店はそういった地域の住宅を支える畳屋さんとして、代々技術を受け継ぎ商いをしていらっしゃいました。
須藤畳店のみなさま、お忙しいなかご親切に教えていただき本当にありがとうございました!
・・・
余談ですが、柴又と言えば帝釈天!
そのすぐ近くに、旧家の邸宅である「山本亭」がありまして、葛飾区の所有のためなんと100円で入場できます。
炉の切られた広間茶室で抹茶などの喫茶もされているので、茶室見学・ご休憩におすすめです◎
友人曰く、須藤畳店が納めた畳...のはず、とのこと
水屋も見られます。私は茶室の中で水屋を見るのが一番好きです。
表千家によく見られる通し棚か2枚のタイプで、水道が真ん中に取られているのが少し珍しい。
茶室から日本庭園を臨む
担当:W
カテゴリ:
(スタッフ) 2022年8月 1日 17:50
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【竣工レポート】新しい、寺のパブリックスペース
昨年、二畳台目小間茶室や八畳茶室を造らせていただき、それからも茶会などでご縁が繋がっているお施主様です。
施工前の様子
境内の北東、霊園の隅に位置する建物で、行事の際にお餅つきで使われるほかは倉庫になっていた建物。
(サイト管理者) 2023年12月11日 11:10
東京都文京区に明るく開放的な茶室が完成いたしました!
埼玉県にありますリンクス・ホリでは、茶室設計から茶室建築までの
トータルサポートを全国対応しております。
本日のブログでは、昨年からお客様と打ち合わせを進めてきた
文京区の茶室リフォーム工事が完成し、先日無事お引き渡しをいたしましたので、
そちらの事例をご紹介させていただきます。
専門職の技が凝縮された茶室建築・施工
昨年までイタリア料理のテナントが入っており、床・壁・天井、油まみれの状態。
茶室にリフォームするにあたり、前テナントの油取りから始まって、
解体、柱の移動、塗装と、まずは準備工事から。少し手間取りましたが。
お引渡しの時、「ビフォーアフターが違いすぎるね!」と、お客様が仰ってましたが、
確かに納得です。
今回の施工チームのメインは数寄屋大工さん。
そして壁と床の左官は、土から選定する本格的左官職人さん。
大工は自社の工房で材を刻み、左官職人は土で丹念に材料を造りました。
そんな手間をかけた茶室は、とても品の良い仕上がりになりました。
それぞれ専門職の技が凝縮された茶室、施工に携わった皆様に感謝いたします。
そして、お客様にも大変喜んでいただけて良かったです。
携わった設計・施工チームの皆さん、ありがとうございました!
記:堀政孝
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堀政孝プロフィール
担当:茶室デザイン、監修、茶道教室、企業研修など
石州流野村派という武家茶道の流派の家元業をしている、弊社の代表です。
茶室設計のご依頼をいただきますと、まずは堀がお話を伺うことになります。
最近ではお茶室竣工後の使い方や、茶室開きのお茶会のご相談も多くいただいています。
使いやすい茶室、こだわりの造作など、茶室建築全般について
なんでもご相談ください。
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(管理者) 2023年10月18日 12:28
東京都国分寺市K様邸・マンション茶室の躙り口
東京近郊を中心に、本格的な茶道のプロが提案する茶室建築の専門企業
株式会社リンクス・ホリです。
2020年にマンション茶室リフォームをさせて頂いた東京都国分寺市のお客様にご依頼いただき、
今回新たに「床間」「取り外し式屋内にじり口」の製作をいたしました。
前回の茶室リフォーム工事では、マンションではなかなか難しい京間の
間取りに取り組みさせて頂き、四畳半本勝手切で壁床の茶室を造作しています。
そして今回はより本格的な茶事や稽古をされるための、収納を改装した床の間と、
茶事の際の席入にも対応できる躙り口の制作のご依頼でした。
躙り口
リビングと茶室を仕切る襖の一カ所を躙り口とする改装です。
「普段のお稽古で足の悪い方もあるため、通常の襖にも戻せるようにしたい」
というお客様のご要望があり、鴨居を取り外し可能な構造で造作しけんどん式の壁と、
脱着しやすいよう軽く、軽くというコンセプトのもと、木戸ではなく
太鼓襖のにじり戸といたしました。
けんどん壁も太鼓襖同様表具師さんによる和紙貼りです。
茶室側は腰貼風なイメージにて濃紺、リビング側は印象的な深い朱で空間を
引き締めています。
床の間 茶室収納
茶室を造る際に必ず問題となるのが、茶道具をいかに収納するかです。茶道関連書籍をお持ちでした。
それらのお品物を収納していたスペースの一角を床の間に改装するということで、
収納力を減らさない工夫が必須となります。
より本格的なお稽古が可能となった茶室で、お客さまにも大変喜んでいただきました。
ありがとうございました。
記:堀政孝
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堀政孝プロフィール
担当:茶室デザイン、監修、茶道教室、企業研修など
石州流野村派という武家茶道の流派の家元業をしている、弊社の代表です。
茶室設計のご依頼をいただきますと、まずは堀がお話を伺うことになります。
最近ではお茶室竣工後の使い方や、茶室開きのお茶会のご相談も多くいただいています。
使いやすい茶室、こだわりの造作など、茶室建築全般について
なんでもご相談ください。
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(管理者) 2023年10月 6日 14:22
夏のしつらえ
埼玉市を拠点に、茶道家元による専門的な視点での茶室建築の提案を得意としております、
株式会社リンクス・ホリ 代表の堀です。
2020年に竣工した神奈川県 川崎市S様邸八畳茶室の
施主様より、夏のしつらえのご依頼を頂きました。
円窓のある茶室に涼やかな簾戸
八畳間で点前座正面に脇床に円窓のある特徴のある茶室です。
その円窓の障子部分に、涼やかな簾戸を納めました。
簀戸の簾部分の素材は、萩を使用しております。
そして、縦の押さえには煤竹を、枠は柿渋の塗装をいたしました。
とても品の良い仕上がりで、簾から透けるお庭の緑がとても良く映えます。
季節を楽しむ茶室建築
暑い日本の夏を少しでも涼しく過ごせるよう、
我々日本人は昔から考えて工夫をしてきたのだと、先人たちの知恵と技に改めて敬意を表しました。
工夫で夏を涼しく過ごす。
現代にも通じる事と思っております。
お客様にも喜んで頂いて、良かったです。
ありがとうございました。
記:堀政孝
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堀政孝プロフィール
担当:茶室デザイン、監修、茶道教室、企業研修など
石州流野村派という武家茶道の流派の家元業をしている、弊社の代表です。
茶室設計のご依頼をいただきますと、まずは堀がお話を伺うことになります。
最近ではお茶室竣工後の使い方や、茶室開きのお茶会のご相談も多くいただいています。
使いやすい茶室、こだわりの造作など、茶室建築全般について
なんでもご相談ください。
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(管理者) 2023年9月 7日 22:02
【竣工レポート】調布市宝乗寺様の本格茶室リフォーム
こんにちは、茶室建築のリンクス・ホリです。東京・埼玉を中心に全国の茶室建築・リフォームのご対応いたします!
昨年秋に竣工しました、調布市の宗教法人 宝乗寺様の境内の小間茶室と露地をご紹介いたします◎
水屋を備えた二畳台目(次ノ間付)の茶室です。
【外観】
平成11年竣工の浄光坊、その右手部分の小間茶室に改装いたしました。
正面の杉片開き戸を入ると土間に繋がり、茶室廊下へと続きます。
茶室右手、八品堂の建物との間を進むと、茶室露地に繋がります。
お客さまにはまず庭師造作の建仁寺垣に囲われた蹲で俗世の塵を落としていただきます。
良い風情の植栽は改装前から同じ場所に植えられていた樹木。左手の灯篭や蹲以外の石のほとんどが境内に置かれていたものを移設しており、お寺の歴史を物語っています。
蹲から左手に向かうと茶室躙り口。
躙り戸・連子窓の方立は杉、連子は竹材を使用しました。
【改装前の外観】
婚礼などの際に隣の八品堂と繋げ使用できる和室でした。
【二畳台目茶室内部】
躙口をくぐると板間があり、右手に床の間、正面に点前座を臨みます。
小間茶室に対しては大振りの床の間は改装前の六畳和室のもので、宝乗寺という寺の歴史を受け継いだ茶室であることを示すものです。
床柱には杉絞り丸太、中柱にはコブシを使用しました。
客座天井は杉網代平天井、点前座天井は蒲芯落天井、壁は聚楽左官、壁留には錆丸太をあしらい、伝統的な侘びの小間茶室を構成しています。
さらに点前座側に回した白の腰貼りが清浄さも表すものです。
床の間側から躙り口、次ノ間(控えの間)を見る。
躙り口前の板間や次ノ間に繋がる襖上の欄の抜けにより、物理的にも視覚的にも広がりを与える構成になっています。
控えの間は太鼓張の給仕口、腰付障子の貴人口をそれぞれ備え、さまざまなお客様やおもてなしのシーンに対応できる茶室です。
間の襖を開放し、三畳台目席としても使用できるこの次ノ間は、古田織部が燕庵で採用した相伴席に由来するものです。
手前座から客座を見る。
天井材の違いや建具によって生み出されるリズムが、実際の広さよりも奥行を感じさせます。
小間に出炉ではありますが、空間に余裕を持たせている為窮屈にはなりません。
【茶室周辺間取り】
図面下部の茶室入口を入ると土間があり、下足を脱いで廊下へと上がることができます。
廊下床は桧の釿仕上。
土間、廊下、控えの間はシンプルな敷目天井を回し、茶室空間をより印象付ける演出となっています。
【水屋】
小間茶室の奥にはもともとたっぷりとしたお勝手がありました。
以前は婚礼や葬儀などに伴う宴会の際に使われていた場所で、たくさんの湯飲みやお皿をしまっていた収納棚があり、そちらを水屋に改装しております。
一間の大きな水屋は、お寺で受け継がれたたくさんのお道具ですぐにいっぱいになりました。
茶室廊下と浄光坊玄関との間の板戸。
右手は両開きの収納棚になっており、釜なども収納していただけます。
ーー
今回、本格的な小間茶室を作らせていただく貴重な機会をいただき、設計チームも改めて勉強させていただきました。
お稽古やお茶会でたくさんの方に使っていただき、長く愛される茶室になることを願います。
宝乗寺様、夏の暑い中工事を進めてくださった志田建築様と施工チームのみなさま、ありがとうございました!
ーーーー
記:ワタヌキ
ワタヌキプロフィール
担当:広報、雑務、茶と家プロジェクト
茶道歴15年、建築業界歴1年の新人です。
裏千家茶道専任講師、茶名宗望。
茶室建築業務サポート、茶と家プロジェクト担当。
(スタッフ) 2023年9月 1日 17:42